碓井流活法 稽古日誌 第5回 2018/5

 

はりきゅうマッサージ シーベルズ大磯 代表の渡邉航也です。

 

5回目の稽古です。

 

・今回習ったこと

  • 碓井流活法の心得 その5
  • 下顎の調整
  • 下顎の導引
  • 下顎頭の調整
  • 頚の擦過
  • 顎関節の骨格調整
  • 顔面神経麻痺の調整
  • 耳凝りの調整
  • 突き指の調整
  • 突き指の牽引(湖底)
  • 突き指の骨格調

 

・碓井流活法の心得 その5

 

碓井流活法は、「三位一体療法」と言われています。3つの「しん」、すなわち「神」「心」「身」は、切っても切り離せない関係であり、活法はこれらを調和させる療法であると説明します。その結果「超自然体」となり、「何をやっても大丈夫」という理想の境地に達するのです。

 

 

こういった説明は以前から受けていましたが、漠然としているところでもあります。私はこれが「超自然体」だという体験はしていません。スポーツでいう「ゾーン」とか「フロー」なのか。仏教で言う涅槃(ニルヴァーナ)なのか・・・。それなら、一生無理!と思います。

 

 

今までは、「神」「心」「身」それぞれについてや、またはその関係についてもあまり深く考えことがなっかたのですが、最近は、このようなことを考えるようになっていました。ですから、今回の心得は、かなりタイムリーな話題でした。

 

 

身は、肉体ですから、分かりやすいと思うのです。例えば、足の小指を動かしてみてください、と言っても動かせない方はたくさんいます。動かせない小指は、物体としてはあります。本来動かせるものをコントーロルできないのですから、その方にとっては、ある意味存在しない、のと同じかもしれません。

 

 

タンスに足の小指をぶつければ、その時に限り強烈な存在感を発揮するでしょう。そもそも、タンスのかどに小指にぶつけしまうのも、その人にとって小指の存在がないからかもしれません。

 

 

フェルデンクライス・メソッドのトーマス・ハンナは、「人間が外側から、すなわち三人称の観点から観察された時、人間の体(body)という現象が知覚される。しかし、この同じ人間が自らの固有知覚という一人称の観点から観察される時、カテゴリーとして異なる現象、すなわち人間の身体(soma)が知覚される」と述べ、ソマティクスを「一人称の知覚で内側から捉えた“身体(soma)”を探求する分野」と定義しました。

 

 

外側から自分の身体を客観的に感じるのか、内側から自分の身体を感覚的に捉えているかの違いがソマティクスなのかそうで無いのかの大きな違いになります。「soma」とは、ギリシャ語で「身体」を意味しますが、英語の「body」とは違います。「body」は、死んでいる肉体も含みますが、「soma」は、「生き生きとした身体(living body)」とした意味で使われています。息をしている体とも言えるでしょう。

 

 

そして、神と心。英語だと、sprit、soul、heart、mindでそれぞれ考える必要がありそうです。精神をどう考えるかで、神にもなるし、心にもなる。活法では、心は精神となっているが、この場合でも、心=精神ではないようである。そして、精神は霊的なものと捉えるか、それとも、大脳皮質的なものと捉えるか。活法では、前者であるが、大脳皮質的な人間特有の考えを精神と捉えてもよさそうであり。

 

 

人間以外の動物に心はあるのか?私はあると思うが、はたして、精神はあるのだろうか。私のイメージでは、精神はない。でも霊はあると思う。

 

 

神を大きく捉えて、自然環境と捉えることもできる。人は環境に大きく影響を受けている。だから、患者さんの生活環境を知る必要がある。例えば、首を左側にむきにくい患者さんがいたとする。聞くと、ダイニングルームで右側を向いていつもテレビを見ているとのこと。席替えをしてもらい左を向いてテレビを見る位置にした。そうしたら、いつのまにか左側を向くことができるようになった、という事例もある。環境=神を変えたことで、その人の首の動きが変わったのである。

 

 

心とは何か。アドラー心理学と少し勉強していたときに、「心は言葉がつくるもの」と定義されていました。それ以上は説明できないのですが、言葉を発するのは、基本的には他者との関係があるからでしょう。患者さんの心に影響を及ぼすには、私の言葉はもちろんのこと、患者さん自身が発する言葉というものも意識する必要があるのかもしれない。

 

 

心についての別の解釈。自分が体験したことから、これは嬉しかった、これは嫌だった、などということを教訓的な物語にするという形で蓄えたもの。あるいはそれらがたくさん集まって、もう少し大きな物語になったもの、それが心だと言うのである。心は様々な体験の結果として後から生じてくるものなのだ 。

 

 

言霊という言葉もありますね。霊=神とすれば、言葉を通じて、神にも影響を及ぼすのかもしれません。

 

 

そして、超自然体をもう一度考えてみる。今まで超自然体とは、「何をやっても大丈夫」と習ってきました。でも、何をやっても大丈夫なんてことはない。今回はもう少し具体的な定義を教わりました。 実際は、超自然体な人は存在しないけれども、それに近づくためには、三位一体をしっかりと意識する必要がある。私も超自然体を目標に日頃の生活を行かなければならないと改めて思いました。

 

 

では、 自然体になるには具体的にはどのようにすれば良いのか。師匠も明確な答えを持っていない。師匠はすでに自然体になっているので、何も考えないでやればいいと言うが、それはとても難しい。毎日の生活を整えることが大切なのかなと思います。

 

 

超自然体の「超」とは、「メタ」と考えました。メタ認知のメタです。メタとは超えるという意味。ですから、超自然体は自然体を超える、という意味。 古代中国の哲学書「易経」の一節に「形而上(形を超えたもの)は、これを道(タオ)といい、形而下(形に支配されるもの)は、これを器という」。器は自然体。物質的なもの。「道」は、一言では言えませんが、真実、本質、理性、道徳、意識、生命、神などの意味をすべて含んでいるかんじです。

 

 

世界は2つに分けて考えることができ、そのうち、形を超えたものが「形而上」。たとえば心、観念、感情などは「形而上」に属します。そして、形を持つもの、つまり物質が「形而下」にあたります。

 

 

無形文化財とか無形固定資産という言葉がありますが、この「無形」は「形而上」とよく似た意味いえます。そういえば、活法は無形ともいいます。むむむ・・・

 

・下顎の調整

 

歯ぎしりとか梅干し顎に効果あり。梅干し顎って初めて聞きましたが、口を閉じるときに、「あごに梅干しみたいなシワ」です。これって、ふだん口呼吸で舌が下がっているために起こるという説明があります。無理に口を閉じようとすることで、口の周囲の口輪筋が緊張して、あごにふくらみやシワが発生するとのことです。

 

・下顎の導引

 

下顎を左右に動かしたときに痛みがあるときに使用します。顎が曲がっている人は結構多いので、出番が多そうです。

 

・下顎頭の調整

 

耳の穴に指を突っ込んで調整します。口を開けしめすると、骨が動くのが分かります。

 

・頚の擦過

 

口を開けて顎が痛い人に、首の後ろのスジをなでることで調整します。なでる方向も決まっています。なぜ?理屈はよくわかりません。

 

・顎関節の骨格調整

 

活法では、骨格を直接調整する技をあります。手のひらで下顎にグッとインパクトを与えます。

 

・顔面神経麻痺の調整

 

口の中に指を突っ込みます。かなり痛い技です。これは現場ではつかわないかな。口の中から、翼突筋を緩めているのだと思いますが、少し力を弱めれば顎の調整にも使えそうです。ちなみにほうれい線が薄まるとのこと。美容でつかえるかな。

 

・突発性難聴の調整

 

3つの技の複合技。肩こりにも使えます。というか、原因不明の耳鳴りは、肩こりが原因だと思います。

 

・耳コリの調整

 

耳にもコリができます。押すと意外と痛いです。ひどい肩こりにも有効。

 

・突き指の調整

 

やさしい調整です。

 

・突き指の牽引(湖底)

 

指を引っ張って調整しますが、引っ張り方がユニーク。これぞ活法!

 

・突き指の骨格調整

 

無理に鳴らそうとはしてはいけません

 

このあとは懇親会でした。楽しく飲みました。飲みすぎました・・・。

 

以上