膝の痛み(変形性膝関節症)

1.はじめに

 

膝は、毎日体重を支えているので、いつも大変な重みに耐えなければなりません。また、大きく曲げ伸ばしをする関節なので、腰や首とは違った形で負荷がかかります。

 

 

変形性膝関節症は、高齢者で特に女性にみられます。正座ができなくなったり、階段の上り下りで痛みがでたり、歩き始め、もしくは長時間の歩行の後に痛みがでることもあります。治療院を受診するまでに、何度も整形外科や整骨院を訪ね、膝から何度も水を抜いてもらっていたり、長期間にわたって電気治療や湿布をしていたり、または自力で運動して改善を試みている方が多いです。

 

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高齢者の方がスポーツクラブの会員になるきっかけとして、「膝の痛みにはプールが良いと聞いた」という方がたくさんいます。プールの運動は、膝への負担を減らしつつ、膝の運動を行えるのがよい点です。運動だけで痛みが改善される方も多いですが、中には運動しても痛みが改善しない人、中には悪化してしまう人も居ます。

 

 

運動して悪化する理由の一つは、頑張りすぎです。運動し始めの膝の痛みは、少し我慢していると、だんだんと軽くなってくることがあるので、つい運動をやりすぎてしまいます。しかし、運動した直後や翌日に痛みが強くなって出てくるのです。それでも、これでは運動が足りないと時間や量を増やしてしまうのです。気付いたときには、膝の痛みがかなり強くなっているのです。

 

 

他の理由としては、姿勢があります。このあとに膝と骨盤の関係についての考えを書いておりますが、例えば、左右の高さがバランスが違うために、運動すると痛いほうの膝ばかりに負担がかかっているということがあるのです。 いずれにせよ、運動して痛みがでるというのは、運動の負荷に膝が耐えられずに、痛みがでているのです。

 

2.治療のポイント

 

膝の痛みは、関節の中が悪くなっているとイメージする方が多いです。関節に中(奥)には、軟骨や関節を包む袋やじん帯などがあります。それらが何らかの原因で悪くなって痛みがでることもあるのですが、その場合は私の治療では治すことは難しいです。

 

 

「それじゃ、渡邉先生には膝は治せませんね」、と言われそうですが、そんなことはありません。むしろ膝の痛みは得意な方だと思います。というのは、膝の痛みの原因は、関節の中(奥)ではなくて、膝の上下の筋肉が硬くなり、血流が悪くなっていることが多いからなのです。

 

 

筋肉をゆるめるのは、シーベルズ大磯の得意分野です。膝が痛い人の太もも、ふくらはぎ、膝の裏の筋肉に触れると、飛び上がるほど痛い時があります。そこが悪いポイントで、そこが見つかればかなり高い確率で改善が見込めます。

 

 

しかし、太ももやふくらはぎの筋肉は結構ほぐれにくいのです。だから、電気治療、ストレッチ、湿布だとなかなか治らないのです。特に長期にわたって膝の痛みがあり、筋肉がコチコチになっている人はなおさらです。こういう人は、指圧整体マッサージでもいいのですが、はり治療もおすすめです。私のはりの特徴は、太くて長い鍼を筋肉の奥まで入れることです。重症の膝の痛みだとこれくらいの刺激が必要です。

 

 

一日中ある膝の痛みやヒアルロン酸の注射に比べれば、はりの痛みなんて我慢できると思います。私の鍼は痛いといっていますが、それは他のはり治療院より痛いというだけで、実際に治療を受けてみると、それほどでもなかったという人も多いです。

 

 

膝の上下の筋肉を柔らかくして、痛みがとれたとしても、少し経つとまた痛みが以前ほどではないのですが、出てきてしまう人がいます。これは、膝に本人が自覚していない負担がかかっているのです。その負担を解除してあげる必要があります。その為には膝以外の場所に注目をする必要があります。それはいったいどこでしょうか?

 

3.腰と骨盤

 

変形している膝は、正常な膝より太くなっています。それはなぜでしょうか?必要以上に負担を受けているからです。体は負担がかかっている所は、頑丈にしなければならないと自然と太くしようとします。これにより関節は太くなるので、良さそうなものですが、その代償として関節の動きが悪くなり、変形へと進んでいくのです。

 

 

膝が変形している場合や片側の膝にしつこい痛みが出ている場合は、膝だけを見ていては解決しません。腰と骨盤ポイントになってきます。 骨盤で大切なのは、左右の高さです。

 

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例えば、左の膝が変形して痛みがでているとします。多くの人は左の骨盤が高くなっています。脚が外を向いてしまって、脚が機能的に長くなっているのです。脚が長いと歩行時に地面からの衝撃が強くなり膝に負担がかかります。このような場合は、骨盤の高さを調整する必要があります。逆パターンで骨盤が低い方に痛みがでることもありますし、両方の膝が痛むこともあります。当院では、活法整体を用いて骨盤の調整をしてます。

 

 

また、腰で大切なのは、隠れ坐骨神経痛です。膝の神経は腰から出ています。腰の深いところにある筋肉が硬くなって、坐骨神経に悪さして神経痛として膝の痛みがでることがあります。腰痛がある方や夜中に膝が痛くなる方は、隠れ坐骨神経痛の恐れがあります。腰の筋肉が硬くなると、前かがみの姿勢となり、歩くときに膝への負担が大きくなります。腰痛が治り姿勢が良くなると膝への負担も軽減します。

 

4.膝に効くツボがお尻にある!

 

膝の動きを格段に良くするツボがお尻にあります!!

 

 

私は整動鍼という流派のはり治療を取り入れておりますが、このツボは整動鍼特有のものです。ですから、整動鍼の技術を採用していない鍼灸師は知らないツボです。当然、教科書にも載っておりません。このツボだけで、痛みが半減してしまうこともしばしばです。

 

 

最近の膝痛の治療方針としては、まず最初にこのツボを使って、変化が出るかを確認しています。

 

 

整動鍼でなくても、鍼灸師は、膝ではないツボを使うことは珍しくありません。私も整動鍼を習得するまでは、肘(ひじ)のツボを使っていました。肘のツボを刺激すると、不思議と膝の痛みを軽減することができるのです。肘にはりを入れたまま、痛い膝を少し我慢して動かしてもらったり、歩いたりすると、段々と楽になってくるくるのです。こういった治療は、鍼灸師ならではと思います。

 

5.運動と体重軽減

 

治療をすると、痛みがすぐに消失して完治する場合もありますが、変形がひどくなってくると、一時は痛みが和らぐがまた元に戻り、一進一退するケースも見られます。それでも、施術を続けていると、以前よりも痛みは少なくなり、また水が溜まる頻度も減ってきます。再発防止としては、治療して痛みが軽くなったら、少しずつ運動を開始します。また、体重がある方は、少しづつ減らしていくことが大切となってきます。

 

6.最後に

 

膝の痛みで悩んでいる人が多いのに、決定的な治療方法がないのが現状です。最終的には手術という話も出てきます。しかし、人工関節では正座はできませんし、また手術後は痛みが改善しても、数年で痛みがぶり返すこともあるようです。

 

 

結局、膝の内部構造ばかりに目を向けているから、なかなか痛みがとれないのだと思います。膝の痛みはやっかいだとは思いますが、膝の上下内外の筋肉を緩め、腰や骨盤を調整し、バランスをよくすることで、変形を今以上に進行させないようにすることが大切です。そして、最後に少しの努力(運動と体重減少)があれば、かなり改善すると私は考えています。

 

 

2017年10月11日 | カテゴリー :